著作権について、福井健策さんの「著作権とは何か」を読んで学んでいます。今回はインターネットでもよく見られる「引用」について整理します。
著作権を考える際、引用とは何か?
他人の著作物の引用は、現在の法律できちんと許されています。明記されている法律は「著作権法第32条」です。
著作権法第32条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない
この第32条には、「公表された著作物は引用して利用することができる」と記されています。ひっかかるのは「その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」というところです。
「引用」の「正当な範囲内」はどこまでなの?
著作権法第32条に記されている「引用」の「正当な範囲内」とはどこまでなのか、という疑問がわきます。この「引用」を使い間違えると、著作権を侵害する恐れがありますよね・・・・。

長く使えば「盗用」になるだろうからねぇ。
引用が許される条件
福井健策さんの著書「著作権とは何か」には引用が許される条件に次の2つを挙げています。福井さんの解釈というより、日本の最高裁が引用の許される条件に次のことをあげています。
- 明瞭区別性
- 主従関係(著作者の人権を侵害しないこと)

この2つを守っていれば「引用」と認められるようです
過去には、有名な漫画を巡って引用か著作権侵害かで裁判があったものもあります。それが「ゴーマニズム宣言」をめぐる裁判です。
ゴーマニズム宣言をめぐる裁判
引用か著作権侵害かが争点となった
小林よしのりさんの書く「ゴーマニズム宣言」を批判的に著した「脱ゴーマニズム宣言」(上杉聰著)という本でのことです。
裁判の経緯
上杉さんは、「脱ゴーマニズム宣言」の中で小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」にある漫画のコマを57カット引用した。
この引用には小林よしのりさんの承諾がなかった
小林よしのりさんは、このことが嫌で57カットは無断使用で著作権侵害、著作者人格侵害だ、と訴えた。
裁判所の判断
裁判所は小林よしのりさん敗訴の判決を言い渡しました。まさに上杉さんが著書内で使った57カットは、「明瞭区分性」と「主従関係」を認めて引用を許可した判決です。
引用する際の基準に
最高裁の掲げている「明瞭区別性」と「主従関係」。引用する際にはこのことを基準にして考えると良いです。またここには引用が必要か?と引用の必要性も考えて使うべきか、そうでないか判断しなくてはいけません。
まとめ
福井健策さんの「著作権とは何か」は著作権におおまかに学びたい、と思っている人には、とても良い本です。
いくつかわかりやすいところを抜粋して整理してみました。他にも興味深い事例を挙げて著作権についてわかりやすく説明してくれています。
ぜひ読みたい一冊です。