YOASOBI等のイラストで知られる「古塔つみ」。YouTuberのコレコレ氏によって写真トレース&パクリ疑惑がかけられました。
その後、古塔つみさんが男性であるとか、本来著作権とは何ら関係のないところまで話題になりました。
今回のニュースから「写真の構図や作品をトレースした場合は著作権侵害にあたるのか」というのを考えたいと思います。
有名アーティストのYOASOBIのジャケット、ポケモンとのコラボを行うなど有名絵師の「古塔つみ」さん。
その古塔つみさんが自身の作品を自ら描いたのではなく、写真やイラスト等のトレース(複写)を行って作品にしていたのではないか、という疑惑がかけられています。
人気音楽ユニット「YOASOBI」のキービジュアルなどを手がけたイラストレーターの古塔つみ氏の作品が、有名な写真などをトレース(複写)しているのではないかとの指摘が出て炎上。本人がトレースを否定しつつも、無断で「引用・オマージュ・再構築」したとして謝罪文を出したが、騒動が収まる気配はない
エキサイトニュースより引用
騒動をうけて、古塔つみさんは、「引用・オマージュ・再構築はしたもののトレースはしていない」と主張しています。
以下、古塔つみさんが発表した謝罪文より抜粋です。
私はかねてより写真素材や実際のモデルさんの写真を参考資料に制作することが多く、この度、話題に挙げられている中には同様の手法で制作したものもございます。しかし、写真そのものをトレースしたことはございません。模写についても盗用の意図はございません。
古塔つみさん謝罪文より引用
さて、ここで著作権について考えると、実際のモデルさんの写真を参考資料に制作、さらに「引用・オマージュ・再構築」というの著作権違反にあたるのかが気になるところです。
古塔つみさんの主張によると、写真そのものをトレースした事実はなく、あくまで現存のモデル写真などを参考にして作品を制作した、とのことです。写真に著作権があるのかどうか調べてみました。
著作権とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」です。
写真の中に「思想または感情」が込められたものなら、写真にも著作権が存在します。さらに写真の場合、写っている被写体(人物)にも肖像権があります。
写真には、著作者にも著作権があるし、被写体となった人にも肖像権があり、他人の撮った写真という作品を自分のもののように使うことは許されません。
写真には著作権はありますが、写真の構図には著作権はありません。似たような構図で写真を撮ったとしても著作権違反にはなりません。
作品には、著作権が存在しますが、それ以外の権利もたくさんくっついています。著作者人格権というものです。
著作権は人にあげることができますが、著作物には著作者人格権があり、作品にずっとくっついてきます。
著作人格権には公表権、氏名表示権、名誉・声望保持権が含まれます。著作権以外にくっついてくるこれらの権利は、「作品を作った人の思いや人権」のようなものと言っていいでしょう。
公表権
著作物をいつ公表するか、公表の方法、または公表しないことを主張する権利
氏名表示権
著作者の作品を乗せたり、引用したりするときに「著作者の名前を表示してもらう」権利
同一性保持権
著作者の思いに反して勝手に作品を変更されないようにする権利
名誉・声望保持権
著作者の名誉を傷つけるような行為を防ぐための権利
著作物にくっついている4つの権利を考えてみると、同一性保持権の侵害になるのではないでしょうか。
古塔つみさんの主張する「作品の再構成、オマージュを行った」というのは同一性保持権の侵害では・・・。なぜなら古塔つみさんは著作者の意に反して、勝手に作品の再構成・オマージュを行ったからです。
再構成、オマージュの範囲も気になります。ちょっと似ているとか、あぁ、言われてみれば、、というものならわかりますが、「全く同じ」であるとすれば、同一性保持権の侵害です。
作品のトレースしていなくても、既存の作品にたいして、全く同じ構図、全く同じモデル、全く同じ感じほぼトレースであれば、同一性保持権の侵害になりそうです。
古塔つみさんはプロの絵師でお金を稼いでいまです。人の作品を使ってあたかも自分の作品のように転嫁し、お金をがっぽり稼いでいた点に問題があります。
自分の趣味の範囲で作品をコピーしたり、学校で教材として学校で使ったりすることは著作権違反になることはほぼありません。著作権侵害になるのはお金が絡むかどうか、という点です。
古塔つみさんは超売れっ子の絵師として活躍していました。お金を稼いでいたのです。そのあたりが法の判断に大きく影響を受けそうです。
今後が気になります。
福井氏の本が素人にもわかりやすいです世の中ローコード、とかノーコー…