Netflixのドキュメンタリーシリーズ、面白いです。今回は「リマスター・ジャム・マスター・ジェイ」を見ました。
って、今回のドキュメンタリーの主役となるジャム・マスター・ジェイとは誰でしょう?そう、最も売れたヒップホップアーティストの一つ「RUN DMC」のDJです。
ドキュメンタリーではジャム・マスター・ジェイの凄さを物語ります。
ヒップホップグループの中で、DJというのはラッパーの後ろに構え、リズムを刻む言わば裏方の役割です。それをジャム・マスター・ジェイは、自らマイクで客に呼びかけ、客からのコール&レスポンスを導かせるようになりました。
俺の名前をしってるか?
ーージャム・マスター・ジェイ!
聞こえないぜ?
ーージャム・マスター・ジェイ!
リマスター・ジャム・マスター・ジェイの一幕より
DJ自らマイクを使って客と接するスタイルをつくり、DJの役割をガラッと変えました。ここがジャム・マスター・ジェイのすごいところです。
RUN DMCといえば、中折れ帽子に3本線のラインジャージ、そして紐なしのアディダス。そのスタイルで一世風靡しました。
このスタイルを作り出したのもジャム・マスター・ジェイです。
RUN DMCの活動が本格化する際、当初の衣装は格子柄のジャケットにタートルネック、そしてアフロヘアの予定でした。こんな感じ。
ところが!RUNとDMCの前に現れたのはジャージ姿で中折れ帽子、足元は紐なしスニーカーのジャム・マスター・ジェイです。
このスタイルに決まりすぐに買い物に行くのが決まったそう。
ジャム・マスター・ジェイの根底にあるのは、あくまで俺たちはストリートの人間なんだ、という想いです。着飾る事なくスニーカーとジャージでステージに立つ、という気持ちから、あのスタイルが生み出されました。
ヒップホップ史上最も売れた曲の一つ、RUN DMCの「Walk this Way」です。超大物ロックバンドのエアロスミスとコラボして、世間を驚かせるとともに、全米チャート4位、130万枚の大ヒットを記録しました。
売れに売れたRUN DMCのジャム・マスター・ジェイは家族、地元の仲間の世話をします。
ストリートでトラックを襲ったり、ドラッグを売ったりしていた地元の仲間に、RUN DMCの公演に関わる警備員をさせてます。社会的にみても良い行いですよね。
RUN DMCはハッピーなグループです。見ていると明るくなるそんなグループです。しかし1988年ごろに出てきたN.W.Aや、Public Enemyらに代表されるように黒人社会の実情や、社会的背景を歌うグループが主流になり、だんだんと息をひそめていきました。
そんなRUN DMCのハッピーな曲。クリスマスを地元で過ごそうぜ、って歌。
ジャム・マスター・ジェイを殺害した真犯人は今もわかりません。いろんな憶測と仮説だけが飛び交うだけです。「リマスター ジャム・マスター・ジェイ」内でも「憶測と仮説だらけ」と言及しています。
当時、RUN DMCが影を潜めた頃、ジャム・マスター・じはJMJレコードを立ち上げます。そのレコード 会社に所属していたのが「50セント」です。
50セントは、曲の中で麻薬売買について書いていて、それがチクリ曲だとギャングの怒りを買っていました。他にもdisりをふんだんに盛り込み、さらに怒りを買っています。
ジャム・マスター・ジェイは50セントを世に出した事で逆恨みされ、殺されたのでは、という仮説です。
カーティス・スクーンとジャム・マスター・ジェイは仕事を一緒にする仲間でした。それがドラッグ絡みの商談で揉めて、カーティス・スクーンが先導して殺した、との仮説です。
ロナルド・ティナルド・ワシントンはジャム・マスター・ジェイのいとこです。小さいときから家族のように過ごすものの、このロナルドはろくでなしw ろくでなしが金欲しさに殺した、というような仮説です。
人生の大半を刑務所で過ごしています。ドキュメンタリーで証言している人もこう語ります。
あいつは誰からも盗む。単なる悪党だ。
リマスター・ジャム・マスター・ジェイより
ランディ・アレンとジャム・マスター・ジェイは保険を掛け合っていました。保険金目当ての殺害じゃなかろうか、という仮説です。
Big DとリルDという親子が真犯人だ、という説。これはラッパー志望だったリルDが、「うちの親父がジャム・マスター・ジェイを撃っちまった」的な発言をしていた、という証言に基づくものです。
[ad2]そして2020年、ジャム・マスター・ジェイを殺害したとされる真犯人が捕まりました。事件から8年もの歳月がたっています。
ロナルド・ワシントンとカール・ジョーダン・ジュニアが殺人罪で起訴されました、とあります。
ジャム・マスター・ジェイはなるべくしてなった大物ミュージシャンです。ドキュメンタリーを見ると、彼は皆の信頼も厚く、家族からも愛されている様子が伝わります。そんな彼がなぜ殺されたのか。証言も多く、現場に居合わせた人が5人もいたのに、なぜ犯人が捕まらないのか・・・。
黒人が殺されても、警察はまともに捜査しない。ドキュメンタリーには警察に対する不信感があらわれています。
2Pac、ビギー、そしてジャム・マスター・ジェイ。才能あふれるアーティストらが殺されても真犯人はわからないままだ、警察への不信感があるから誰も真実を語らない、と述べています。
後味の悪いドキュメンタリーではありますが、ヒップホップ好きにはぜひ見てほしい1本です。
こちらもぜひ。
世の中ローコード、とかノーコー…
います。ちなみに50セントも別の日に撃たれています。撃たれた後、エミネムに拾われてビッグになりました。