ヒップホップの事を話そうとすると、切っても切れないのがサンプリングです。ある音楽の1フレーズを使って新しいリズムや新しいフレーズを作り出すことです。
ちょっと待ってください。このサンプリングって実は違法じゃないのか?ってことで書きました。
結論:サンプリングは違法
結論から言います。楽曲許諾申請をせずに勝手にサンプリングして自分の作った音楽として利用するのは、違法です。著作権を侵害しています。
音楽での「著作権」と「著作隣接権」
音楽を作ろう、流そう、ネットにあげよう、とするときに良いとおもった音楽データには、発生する代表的な権利の「著作権」と「著作隣接権」があります。
著作権(著作者の権利)とは?
著作権とは、「著作者の権利」です。JASRACではこのように定義されています。
著作権法では、著作物を「思想又は感情を」「創作物に」「表現したもの」で、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています。
音楽の著作物には、曲のほかに歌詞も含まれ、また、録音や記譜されている必要はなく、即興演奏のような形で表現されたものも著作物です。
JASRAC
なななー--んと!!!この著作権(著作者の権利)は出願や登録の必要がありません。作った時点でその人のもの、となるのです。
著作隣接権とは?
楽曲などには著作権の他に、著作隣接権があります。この著作隣接権とは音楽の演奏家などを指します。
作詞・作曲した人(著作者)ではなく、曲のレコーディングに携わったギタリストやベーシスト、ピアニストなどなどバンドマンたちを指すことが一般的です。
サンプリングは「著作権」「著作隣接権」侵害
4秒以内・1フレーズのサンプリングはOKの嘘
ヒップホップの曲を作ろうとするときに行われるサンプリングは、サンプリングする元ネタの著作権・著作隣接権を侵害することになります。
ヒップホップを愛する人たちの都市伝説として、「1フレーズならOK」とか、「4秒以内ならはOK」とかが言われています。
これ、全くのウソです。
1秒でも勝手に元ネタをサンプリングしてしまうと著作権・著作隣接権を侵害にあたりますから、ご注意ください。
サンプリングで訴えられたアーティスト
ビースティボーイズ
あのビースティボーイズは過去勝手にサンプリングしたとして訴えられました
ビースティボーイズは、ある有名なジャズ・ミュージシャンのジェームズ・ニュートンのフレーズを利用して訴えられたのです。
訴えられた経緯
ビースティボーイズは、サンプリングする際、レコード会社とライセンス契約はしていたけど、著作者であるニュートンの許可を得てなかったために訴えられました。
ビースティの勝ち
裁判の結果は、ビースティーの勝訴でした。法の判断としては、「ビースティがサンプリングした部分は「創作性がない」部分だ」としたからです。
著作権は、著作物を「思想又は感情を」「創作物に表現した」ときに生まれるので、あんまこれ意味ないよなー、って部分は著作権として認められないのです。

De la Soul
Turtlesの「You Showed Me」という曲を許可せずに使って後ほど訴えられています。De la Soulのアルバムがリリースされたすぐ後、Turtlesの元メンバーが訴えを起こしました。De la Soul側の支払いは170万ドルという噂です。
著作権等侵害罪は「非親告罪」
親告されなくても罪になる
著作権侵害罪は親告によるものだったのですが、2018年の法改正により一部非親告罪になりました。
- 金儲けに使う
- 原作のまま使う、ネットで配信、またはコピー
- 原作のまま使われたり、ネットで配信されたりすると著作者の利益が害される場合
具体的な例として、海賊版を販売したりネットで配信すると、非親告罪でそのままお縄につくことになります。
よく著作権の例外として扱われるコミケなどでの2次創作物は、非親告罪化の対象ではありません。従来通り親告罪のままみたいですね。
音楽にあてはめても、同じことが言え、サンプリングどころかレコード1枚まるまる流すなどしてお金を稼ぐときは、非親告罪でお縄です。
これは気を付けておかないと知らずにYouTubeなどで誰かの新曲を流したら、非親告罪になります。
最もサンプリングされている人
James Brownが最もサンプリングされている???
ヒップホップのアーティストたちが、最も多くサンプリングに使っているのがJames Brownだと言われています。

ヒップホップなど音楽を作るときに使われる方法の一つです。今まで出された膨大な音楽の中から、ある1フレーズ(何秒間とか)を抜き出して自分の音楽に組み込むものです。